
臨床心理士
精神障害や心身症などからの回復をめざす臨床心理
臨床心理士とは、精神障害や心身症、心理的な問題による不適応行動をするようになった患者さんに対し、回復のための援助活動を行っていくための仕事です。
臨床心理士は心療内科などに勤務をする精神科の医師とは異なり、国家資格ではなく民間資格として実施されています。
同様の仕事や資格として、心理カウンセラーやサイコセラピストなどといったものがありますが、医学的な手法によらず対話や行動によって心身の病状を改善するという点では一致しています。
臨床心理士は民間資格ながら取得の条件はかなり厳しく、主催している公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定する第一種指定大学を修了するなど臨床研究の高度な教育もしくは実務経験がなければいけません。
医師免許取得者も心理臨床経験を2年以上経験していなければ臨床心理士の試験を受験することができないので、心理系の資格の中でも最も権威あるものであると言ってよいでしょう。
いわゆる「精神病」として分類されるものには「神経学」と「神経心理学」の二種類があります。
「神経学」というのはいわゆる器質的障害とされるもので、事故や病気によって脳や神経部分に変化が起こったことにより性格や言動が社会生活に適合しなくなることを言います。
もう一つの「神経心理学」は脳の構造によって引き起こされるもので、投薬や物理的治療が効果のある場合もありますが、基本的には認知療法などの医学的療法以外を用いて改善を目指します。
諸外国にも存在する臨床心理士
臨床心理という学問は日本だけでなく世界各国で高度な研究が行われています。
臨床心理士資格は5年毎の更新制となっているため、資格取得者は一定時期ごとに学会の研修を受け常に最新の臨床心理の研究を身につけるものとされています。
同様の資格を設置している国としては、アメリカ合衆国やカナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オーストリア、スゥエーデン、オーストラリア、中国、韓国があります。
臨床心理士は取得までどのような経歴で現場を経験してきたかや、他にどのような資格があるかによって勤務先が大きく変わってきます。
精神医療の現場にいた人であれば、心療内科や心療クリニック、精神保健福祉センターといった医療系の施設となりますし、福祉関連の現場にいた人ならスクールカウンセラーや教育相談室など教育に関わる場所に勤めます。
他にも司法や法務の場において、家庭裁判所や少年鑑別所、刑務所等で犯罪者の心理にあたったりするといったこともできます。
様々な分野において高度な心理治療ができる人材として社会的にも非常に高い地位に置かれている仕事です。